神武東征とは?
 では、何故天照大神を初代天皇とせず、神武天皇を初代としたのであろうか?
 これも、すでに書いたように簡単に出てくる話である。天照大神(卑弥呼)の時代はまだ、邪馬台国は日本統一を果していないからである。だから、天皇ではなく、天皇の神聖としての神々だったのである。それ以遠は、百余国相争ってまとまっていなかったと、魏志倭人伝にきちんと書いてある。
 これも魏志倭人伝から卑弥呼(天照大神)死後諸国相争う事態が発生し、男王を立てたが収まらず、台与という女性が立ち、戦乱は収まったと書いてある。台与は卑弥呼の養子だろうと思われるが、天照大神の3代後のホオリノミコトの妻はトヨタマビメとなっており、古事記では父、ニニギノミコトと木花佐久夜毘売との間の子となっている。だとするとトヨタマビメは天照大神の直系ではないことになるが、第一、養子だから直系ではないこと、第二、そもそもホオリノミコトは、木花佐久夜毘売とニニギノミコトの間の子ではない。なぜなら、ホオリノミコトはニニギノミコトの子ではない、と疑われたため母の木花佐久夜毘売は自殺しているのである。これもある意味真実の物語であろう。こんな話を神話に入れる必要がないにもかかわらず、あえて、入れたのは、真実を残すためであった。
 つまり、直系の子ではない台与(養子)に婿入りしたのが、ホオリノミコトと言うことを暗に示しているのである。卑弥呼の3代後の子であれば、かなりの年の差であろうが、実の子と言うなら信じられないが、年長大な卑弥呼の養子なら、この程度の差は充分納得できるのである。
 日本統一をした初代天皇の祖母が、台与で、卑弥呼の跡継ぎだから神聖なのである。であれば、アメノオシホミミは天照大神(卑弥呼)の弟であり、つまり傍系となる。だから傍系のアメノオシホミミやニニギノミコトは神社などではさほど神聖とされていないこととなる。だから、台与は各神社で祭られるし、九州の大分、熊本、宮崎の3県にまたがる山を祖母山と言い、その関連を示している。ちなみに、神武天皇の母の玉依毘売はこのトヨタマビメの妹である。だから、妹の母より、姉の祖母を神聖としている。


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